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前情提要:面對想把女兒嫁給自己的小室青岳,伊兵衛坦承自己已經結婚,解開了青岳對他的誤會。隨後青岳讓伊兵衛明天一早再離開,但伊兵衛表示必須稍微離開一會兒再回來。
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九
まさに春暖である。
遠い山にはまだ雪が見えるけれども、畑には麦が伸び、菜の花が咲きさかっている。道端には草の芽がやわらかく萠え、林も薄紫に霞んでみえる。日は暖かく、風も……風は少しあるが、いかにも春らしい軟風で、歩くには却って爽快なくらいだった。
眼前景緻,可謂暖春。
遠山雖尚看得見白雪,但田裡已長滿直挺挺的麥子與燦爛的油菜花。路旁更有萌發的嫩芽,與朦朧的淡紫樹林。陽光和煦,風也……風雖不怎麼吹,但吹來確實是春日和風,令人走起路來反倒舒暢清爽。
「それで、それからどうなさいました」
旅装のおたよは、含み笑いをしながら、笠を傾げて良人を見あげた。
「所以,後來您做了什麼?」
身著行裝的阿賴抿嘴笑著,提起頭上草帽的前沿,仰視著丈夫。
「わかるでしょう、私の勘弁ならない気持が」伊兵衛は歩きながら力をこめて云う、
「妳明白我的心情吧?我實在無法容忍那樣的事情。」伊兵衛邊走邊用力說道:
「小室さんは善い人ですよ、もののわかった、見識の高い善い人です、しかし悲しいかな扶持を取っている、道場を持ち門人があり、安楽に暮している、それで理非の判断がにぶるんだ、扶持を失いたくない、道場や門人を失いたくない、安楽な生活は放したくない、そこで自分では気づかずに、若気の悪戯だなんて云うんですよ」
「小室先生是很好的人,是個明事理、見識廣的好人。可惜他領有俸祿,開設道場收取弟子,過著安樂的生活,所以他不再能準確地判斷是非。因為他不想失去俸祿,不想失去道場與弟子,不想捨棄安樂的生活。所以他才會毫無自覺地說那只是年輕人血氣方剛的惡作劇啊。」
彼はどしんと片足を踏みつけた。
「若気の、血気ざかりの、冗談じゃない、片方は貧しい弱い人たちですよ、それを武士たる者が刀で脅やかしたり、はらいせに十人も集まって、
他重重地邁出一步。
「什麼年輕人?什麼血氣方剛?別開玩笑了。另一方可是貧窮的弱者啊,一群武士竟然持刀威脅他們,為了洩憤竟然還找來十個人助陣。
私に向って来るならいいが、なんの後盾もない弱いかれらをやっつけ、大けがをさせたうえに職業まで奪う、血気ざかりもくそも、こいつはごく悪質ですよ、こんなやつらと折合ってゆくなんてまっぴらです」
衝著我來就算了,竟然欺凌那些背後毫無靠山的弱者,不只讓他們身受重傷,還奪去他們的工作。那傢伙根本不是血氣方剛,簡直惡劣到了極點,我絕對不會向他們妥協度日的。」
「それはわかりましたわ」おたよはやはり含み笑いをしたまま、「――お返しになる謝礼のお金は、どうなさいましたの」
「這我已然明白。」阿賴依舊抿嘴笑著。「小室先生給您的謝禮,那些錢您是怎麼還的呢?」
「それなんですがね、ええ、おたよはもう怒らないと思うんだが、いつか許しを得た筈なんだが、だって小室さんへ返すのは一両二分だけれども、けがをして寝ている者がいますからね、五人とも家族が多くて、食うに困ってる状態なんですから、それはおたよもいってみればわかると思うんだが、じつに気の毒で哀れで、なんです、どうして笑うんです」
「那個啊,嗯,我想妳應該不會生氣了,之前應該也有得到妳的允許,可以讓我隨意使用。畢竟我要還給小室先生一兩二分錢,但又還有那些受傷在家休息的人啊,那五個人都有很多家人要養,他們現在連果腹都有困難了,我想妳去看過也會明白的,他們真的很可憐。怎麼了?妳為什麼要笑?」
「仰しゃればよろしいのに、賭け試合をなすったのでしょう」
「您明說就好了,您去跟別人打賭決鬥了吧?」
「つまり、その、つまるところ、そうなんです」彼は赤くなり、気まずそうに笑った、
「總之,那個,總而言之,正是如此。」他一時面紅耳赤,難為情地笑了。
「念流の道場をやっている、津村九郎兵衛という者がいるんです、そこへいって少しばかり強引に申込みました、承知しそうもなかったが、ちょっと怒らせましてね、ふしぎなことに道場のあるじなんて者は、怒らせると賭け試合をやるんですよ、ええ、それはふしぎなくらいです」
「有一位開設念流道場,叫做津村九郎兵衛的人。我去了道場,硬是請他跟我決鬥,但他完全不肯答應。我就稍微用了激將法,不可思議的是,他作為一名道場的主人,竟然一生氣就願意跟我打賭決鬥,真的,非常不可思議。」
「小室さまはお受取りになりまして」
「受取らないというので置いて来ました、食費や世話になった代もありますからね、婿にならない以上、そういうものも払わないと義理が悪いでしょう」
「小室大人就收下了?」
「他說不收,於是我放了就離開了,連伙食費和受他們照顧的費用也一併還了。既然我做不成他的女婿,這些錢不還的話,實在不合情理吧。」
「婿にならないって、なんのことですの」
「您說做不成女婿,是怎麼一回事?」
「なんのことって、千草というお嬢さんを私の、いや私をその、……ええと、ああ茶店がある」伊兵衛はなにやら慌てて、向うを指さした、「――ちょっと休みませんか、少し早いが午の弁当をついでに」
「怎麼一回事啊,他說要把她的女兒千草嫁給,不對,是要讓我那個……那個,啊,前面有一間茶館。」伊兵衛不自覺地慌張了起來,伸手指向前方。「要休息一下嗎?雖然還有點早,順便吃午餐的便當吧。」
「いいえ、今のお話をうかがいますわ」おたよは首を振って、屹と良人の顔を見た、「その千草とか仰しゃる方は、小室さまのお嬢さまなのですね、そしてあなたがその方の、お婿さまになるというわけなのですか」
「不,我想聽您說說剛才那件事。」阿賴搖頭,嚴肅地看著丈夫的臉。「那位稱作千草的小姐,是小室大人的令嬡吧?然後您是要成為那位小姐的夫婿是嗎?」
「いやそれが、それはですね、小室さんがそういう気持でいただけで、私はまるで」彼はまた赤くなり、吃った、「――まるっきり、私は知らなかったんです、本当です、だから、それがわかったので、ますますいられやしない、で、すぐに出て来たんです」
「不,那是,那件事啊,只有小室先生有那番用意,我完全沒那麼想。」他又面紅耳赤,結巴了起來。「這件事,我事先完全不知情,真的。所以,我就是因為知道了,才更加覺得待在那裡非常彆扭,就馬上離開了。」
「どういう方ですの、そのお嬢さま、おきれいだったんでしょ」
「那位小姐,是怎麼樣的人呢?一定是個美人吧?」
「冗談じゃない、てんで、そんな、……要するにそういうわけで、すぐとびだしてですね、それから夜道をかけて五人の家をまわりました、寝ているのを起こして、金を配りましてね、かれらは泣いていましたよ」
「妳別開玩笑了,完全不是,怎麼可能……簡單來說,因為這個緣故,我馬上就離開了。然後在夜裡到那五人家中拜訪,將他們從睡夢中叫醒,把錢分給了他們,他們都哭了喔。」
「年はお幾つぐらいですの、そのお嬢さま」
「本当にかれらは泣きましたよ、権六の家では粥を喰べてゆけと云いました、泊ってゆけと云った家もありましたがね、さあ来ました、この茶店でちょっと休みましょう」
「芳齡多少呢?那位小姐。」
「他們真的哭了喔。權六家讓我吃碗粥再走,也有其它人家讓我住一晚再走的。來,我們到了,在這間茶館休息一下吧。」
伊兵衛はこう云うと、さっさと道端の茶店へはいっていった。
伊兵衛如此說著,迅速地進入了路旁的茶館。
(待續)
